Resources
>
Shopify解説
>
【2024】Mailchimpの特徴と使い方|Shopify定番メールマーケテイングツール紹介
【2024】Mailchimpの特徴と使い方|Shopify定番メールマーケテイングツール紹介

【2024】Mailchimpの特徴と使い方|Shopify定番メールマーケテイングツール紹介

Updated At:
May 10, 2024

はじめに

既存顧客に対するメールマーケティングの重要性は近年ますます高くなってきています。この記事は、LTV向上に取り組むECマーケティング担当者の方にむけて、「Klaviyo」とよく比較されるメールマーケティングツール「Mailchimp」の特徴や使い方について説明します。

メールマーケティングの重要性とツール選びの観点

ECにおけるメールマーケティングとは?

メールマーケティングとは、商品やサービスをプロモーションしたり、顧客との接点やエンゲージメントを維持するためにメールを利用することです。「メールマガジン」もメールマーケティング活動の一つに含まれますが、ターゲットを絞りパーソナライズしたメッセージを送信することで販売促進を行うことを目的とした活動をさします。ECにおいては、とくに既存顧客との関係を維持し、リピート購入に繋げる目的で活用すると有益です。

参考記事:

ECにおいてメールマーケティングが重要な理由は?

既存顧客に対するメールマーケティングの重要性は近年ますます高くなってきています。大きな理由のひとつが、新規顧客獲得のハードルが高くなる中で、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)を高めることが重要視されるようになってきているからです。

ECにおける顧客のLTVは、「平均注文金額」「購入頻度」「顧客寿命」などの要素に分解することができます。そのうち、メールマーケティングは、定期的に既存顧客との接点を維持することで「購入頻度」や「顧客寿命」を改善することができる施策ですので、LTVを向上させる重要な手段の一つとなるのです。

参考記事:

ECでメールマーケティングを選ぶ際に重要な観点

デザイン・テンプレートとメールビルダ機能

メールマーケティングは定期的に継続することがとても大切です。ですが、一度でもメールキャンペーンを実施したことがあるマーケティング担当者の方は理解されているかと思いますが、ECブランドのイメージを損なわずに魅力的なデザインのメールをゼロから作成することはとても骨が折れます。

デザイナーの力を借りずとも一定水準以上のデザインのメールを短時間で作成することができる「テンプレート」や「メールビルダ」の機能がどの程度充実しているかは、とても重要です。そのうえで、レイアウトや色味の調整など、自社ブランドに合わせたカスタマイズの柔軟性が確保されているツールを選定したいところです。

自動化(オートメーション)機能

おそらくメールマーケティングの中で最も関心が高い機能が、自動化(オートメーション)です。

メールマーケティングの分野では「かご落ちフォローメール」「購入後のフォローアップメール」「誕生日メール」など、一定の効果が見込める王道のマーケティング手法が確立されています。これらのメール配信を自動化することができるオートメーション機能は、マーケティング担当者の労力を削減してくれるので、よりクリエイティブな仕事に集中できるようになります。

ツールによっては、基本的な配信の自動化だけでなく、自分でイベント・トリガーを設定して柔軟に自動化フローを構築することができる発展的な機能を提供しています。

セグメント配信機能

見落とされがちですが、とても大切な機能が「セグメント配信」の機能です。

調査によれば、EC事業者の70%が一斉配信メールを送信しています。ですが、一斉配信メールでは、送り手にとってもお客さまの顔が見えずぼやけたメッセージになってしまいます。受け手からしても、似たようなLINEやメールに埋もれる1通でしかなくなるので、結果として開封されない・成果につながらないキャンペーンになってしまいます。

「セグメンテーション」とは、顧客を同じような購買目的やニーズ・嗜好を持ったグループに分けることです。顧客を適切なサイズのセグメントに分けて、それぞれに合ったコミュニケーションを行うことで、コンバージョンやエンゲージメントの高いメールキャンペーンを行うことができるようになります。このようなメールキャンペーンを「セグメント配信」と呼ぶことがあります。

行動セグメンテーション、心理的セグメンテーション、性別・年齢などの人口動態セグメンテーション、居住地などの地理的セグメンテーションの4つが代表的ですが、この中で最も重要かつ実用的なのは「行動セグメンテーション」です。

ECの既存顧客に対するマーケティング活動においては、「サイトでの行動やどんな商品を購入しているか」といった行動データを活用したセグメント配信ができるかは非常に重要です。

参考記事:

パフォーマンスの計測機能

メールキャンペーンを適切に評価して改善をするために、「開封率」「クリック率」といったメールマーケティングの指標を把握することが大切です。これらのデータは大抵のメールマーケティングツールで計測することができますが、ことECにおいては、クリックだけでなく「実際の購入に繋がったか?」を分析することが最も大切になります。

また、「開封率」や「クリック率」についてよくある悩みは、数値が一般的に見てよいのか悪いのか判断がつかないというポイントです。そもそもこれらの指標は、業界・商材により平均的な水準が異なるので、一概に判断することが難しいテーマでもあります。メールマーケティングツールによっては、ツールを利用している事業者のデータを活用して、業界水準との比較を閲覧することができる機能を提供しています。

日本語対応

日本のECストアがShopify Appを活用する際に大きな問題となるのが言語です。定番と言われる多くのアプリは、インターフェースが英語のみであったり、ガイドやサポートが日本語対応していないケースが多いです。一方で、利用者が多いAppはインターネット上で利用方法が日本語で解説されていたりするので、どの程度日本語のリソースが活用できるかは重要な観点となります。

価格体系

外すことができないのが価格体系です。メールマーケティングツールはメールを送るという機能の面でそこまで大きな差異があるわけではないため、各社それぞれ価格体系を工夫して特定のビジネスニーズに応えようとしています。たとえば、メール購読者数ベースで課金をおこない定額制でほぼ無制限にメールが送れるような価格体系のツールや、逆にメール送信数で従量課金をおこなうことで、立ち上げたばかりのECビジネスでも比較的気軽にメールマーケティングに取り組めるようなツールがあります。無料プランで利用できる範囲にも違いがあります。

自社ECの成長フェーズを踏まえつつ、適したツールを判断することが必要です。

Mailchimpとは

「Mailchimp(メールチンプ)」は、2001年から提供されている老舗のメールマーケティングサービスで、Shopifyと連携することができます。

MailchimpはShopify以外の様々なECカートのほか、Sales ForceなどのCRMと広範な連携が可能なことから、ECに留まらず様々な事業者に利用されています。裏返すと、EC向けに最適化されているツールというわけではないことに注意が必要です。

Shopifyと連携したメールマーケティングツールとしては、Klaviyoと比較されることが多いです。

特徴は、他社サービス連携の多さとマーケティング自動化テンプレートの充実です。Mailchimp Expertによって様々な自動化のテンプレートが公開されており、SalesForceをはじめとしたCRMとの連携や、GoogleAdsなど広告系との連携など様々な自動フローの活用が可能になっています。

Mailchimpの機能

Mailchimpはメールマーケティングツールとして必要とされる機能がすべて網羅されています。そのうえで他社サービス連携による自動化のバリエーションに強みを持つ点が特徴的です。一方で、セグメント配信の機能が弱みと言えます。

1つずつ確認してみましょう。

デザイン・テンプレートとメールビルダ機能

Mailchimpは他の定番ツールに量的に少し劣るものの、メールのテンプレートが準備されています。

メールビルダは他社とそこまで大きな違いはありません。HTMLメールをノーコード(ドラッグ&ドロップ)で作成することができます。

自動化(オートメーション)機能

Mailchimpの自動化(MA・オートメーション)機能は、”Automations”または”Journey”という名前の機能になっています。下記のようなフロービルダーで、ドラッグ&ドロップで自動化フローを構築することができます。

自動化の機能は一見複雑に感じますが、基本的には「トリガー」を設定して「アクション」を指定することで成り立っています。Mailchimpの大きな特徴は「アクション」がMailchimp内でのメール送信に留まらず、SalseforceやSlackなど様々な他社サービスと連携して設定を行うことができる点です。

たとえば顧客が特定の商品を購入したタイミングで、Slackに通知を行うといったところまで設定することができます。

さらに特徴的なのは、準備されている自動化テンプレートの多さです。これらのテンプレートは”Mailchimp Experts”により開発・提供されており、日々テンプレートの数が増加しています。

セグメント配信機能

Mailchimpは優れた顧客セグメント作成の機能を持っていますが、Shopifyの他の定番ツールと比べると少し見劣りする面があります。

多くのメールマーケティングツールは、Shopify上の顧客セグメントを参照するだけに留まっていることが多いです。Mailchimpの場合はShopifyのデータをフルに連携して、注文データを使って自分で顧客セグメントを作成することができるようになります。

つまり「行動セグメンテーション」を行ってセグメント配信を行うことができるようになります。

※行動セグメンテーションについては下記の記事で解説しています。

こちらのようなセグメント作成フォームで顧客セグメントを作成します。AND / ORを組み合わせてさまざまな条件のセグメントを作成することが可能です。

Klaviyoなどとの違いを強いて挙げるとすれば、ANDとORのネストができない点や、注文内容に関する複数の指定ができないこと、購入回数などの指定ができないことです。

1つ目の点では、たとえば「”商品Aまたは商品カテゴリBの商品を買ったことがある”顧客で、なおかつ”東京都に居住している”顧客」というような指定ができなくなります。細かい違いに見えますが、いざ思い通りのセグメントを作成しようとすると意外に不便な制約になります。

2つ目の点では、たとえば「商品A、商品B、または商品Cを購入したことがある」というような指定ができないということです。行動ベースのセグメントを作る際に、単一の商品だけで考えることはあまり多くないですので、この制約があると非常に不便です。

3つ目の点について、たとえば商品Aのファンのセグメントを作りたいとします。

Mailchimpでは「商品Aを少なくとも1回購入したことがある」というセグメントを作ることしかできません。(1回買っただけではファンであると言い切るのは難しいですよね。)Klaviyoの場合は、たとえば「商品Aを3回以上購入したことがある」というようなセグメントを作成することができます。

このように、Klaviyoとの比較の中で細かく見ると制約はありますが、それでも他のメールマーケティングAppと比べるととても優れたセグメント配信機能が提供されています。

パフォーマンスの計測機能

Mailchimpは他のツールと同様に、開封率やクリック率を計測することが可能です。

さらに、メール作成時にUTMパラメータを設定しておくことで、売り上げを計測することができます。ただし、売り上げまで含めたレポーティングに関しては、Shopify自身が提供している「Shopifyメール」の方が少し充実しています。

日本語対応

残念ながら2023年5月時点ではMailchimpは日本語対応していません。ただし、著名なツールということもあり、Mailchimpの利用方法を日本語で解説しているインターネット記事が一定数存在するので、それらを頼りに利用することは可能です。

機能についての解説は以上です。まとめると、ECのメールマーケティングで必要となる機能は網羅されていますが、セグメント配信機能の面で明確な弱みあります。一方で自動化(MA・オートメーション)は他のShopify定番メールマーケティングツールと比べても優れた機能やテンプレートが提供されています。

Mailchimpの利用料金

Mailchimpは無料プランと3つの有料プラン(Essentialsプラン、Standardプラン、Premiumプラン)が用意されています。かなり複雑なプランになっているので、この記事では要点のみを解説します。

無料プランではメールアドレス数は500件まで、メール送信数は1000件/月までです。立ち上がったばかりのストアであれば、無料で利用開始も検討ができるラインです。一方でテンプレートの選択など多くの優れた機能には利用制限があることに注意が必要です。

有料プランについて、Essentialsはメール配信が利用できるものの一部の機能制限があります。Standardはほとんどの機能制限がなくなりますが、Premium限定の機能(高度なABテスト機能やレポートなど)に制限があります。Premiumプランはサポートが充実していますが、日本のECストアの場合はまずはStandardプランで開始して問題ないでしょう。

Standardプランの料金は2023年5月時点で下記のようになっています。

メールアドレス 5,000件: $63.12

メールアドレス 10,000件: $83.92

メールアドレス 30,000件: $211.62

同じメールアドレス件数に対応する料金をKlaviyoと比較すると、50%~70%程度の金額で利用することができるようです。

他の定番ツールと比較したMailchimpの特徴・向いているECストア

機能と価格を踏まえてMalichimpの特徴を整理すると、下記のようになります。

  • マーケティングツールとして求められる機能はすべて提供しており、他社サービスと連携した自動化(MA・オートメーション)機能が特徴。
  • セグメント配信は他の定番ツールに劣る。
  • Klaviyoと比較してかなり安い料金で利用できる。Omnisendと同等の金額感。
  • Klaviyoと同様に日本語の解説記事が一定数存在する。

Klaviyoと同等のマーケティングをより安い料金で実施したいというストアにとっては魅力的な選択肢です。とくに自動化に関してはKlaviyoより多くのことが実装できます。ただし、セグメント配信機能の点では不便を感じる可能性が高いです。

参考記事:

メールを送信するまでのステップガイド【画像付き】

Mailchimpのメール送信までのステップを画像付きで解説します。

まずShopifyアプリストアから”Mailchimp”をインストールしてください。

https://apps.shopify.com/mailchimp

インストールするとShopify管理画面の「アプリの設定」の画面に遷移します。”Sync Now”をクリックすると、連絡先情報がMailchimpに連携されます。

それではメールキャンペーンを作成していきましょう。”Campaigns”から”Create Campaign”をクリックします。

”Design Email”をクリックすると、テンプレートが表示されるので、好みのものを選択して”Apply”をクリックしてください。

こちらがメールビルダーです。ドラッグ&ドロップで要素を追加して適宜編集をしてください。メールが完成したら、”Save and exit”をクリックします。

次にメールの受信者、送信者情報や、件名を設定します。

“Audience”は、複数のストアから情報を連携している場合に、どちらのストアの顧客にメールを送信するかを選択できます。”Recipients”で、事前に作成したセグメントを選択することでセグメント配信を行うことができます。

選択が完了したら、”Schedule”をクリックすると配信予約を行うことができます。

以上でメール送信プロセスは完了です。

最後に配信スケジューリングを行います。”Start Sending”より”Schedule for later”を選ぶと配信日時を設定することができます。設定が完了したら、”Schedule Campaign”をクリックします。

配信結果はメニュー”Analytics”の”Email”より確認を行うことができます。

開封率、クリック率などをキャンペーンごとに確認することができます。

以上、Mailchimpでメールを配信するステップを簡単にご紹介しました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

Shopifyでメールマーケティングに力を入れたい場合、Mailchimpは魅力的な選択肢です。Klaviyoと同等の機能を、より安い料金で使うことができます。特に、SlackやSalesForceなども組み合わせてマーケティング業務の自動化を進めたい場合には有力候補になります。

利用料金はKlaviyoよりもかなり安く、同じメールアドレス件数で比較すると50%~70%ほどの料金設定になっています。

ECに特化しているわけではないため、セグメント配信の機能は、他の定番ツールと比べて見劣りします。

Klaviyoと同等以上のセグメンテーションができる”ECPower”とMailchimpを組み合わせて利用することで、Klaviyoよりも安い料金で・高度なセグメント配信を行うことができるようになります。

顧客セグメントツールECPowerはShopifyストアのデータをフルに活用して、ノーコードで高度な顧客セグメントを作成できるツールです。また、作成したセグメントをLTVや平均注文金額、購入頻度といった観点から比較・管理することができるので、LTV向上にむけたメールマーケティングの活動を効果的に実施することができるようになります。Shopify公式アプリの無料インストールはこちらから。

Author
ECPower プロダクトマネージャー

この記事は顧客セグメント管理・ジャーニーインサイト"ECPower"のプロダクトマネージャーが執筆・監修しました。記事の内容はShopifyをはじめとしたEC事業者向けのLTVグロースやCRM支援、データ分析の知見や実績に基づきます。

ON THIS PAGE